FT−101用VFOを7M専用受信機のVFOとして利用するための改造です。
発振周波数の変更とVFO固定用板等の取り付けを行なっています。
仕様 (FT-101取説、回路図、実測より)
発振周波数 :
8700 〜 9200kHz
出力電圧 :
360mVp-p(実測値)
発振回路 :
クラップ発振
周波数安定度 :
30分当たり100Hz以内
電源電圧 :
6V
改造前後の実測値を下表に示します。
項目 改造前 改造後 発振周波数
(受信可能周波数)8.613〜9.293MHz
(8.158〜8.838MHz)7.422〜7.705MHz
(6.967〜7.250MHz)可変幅 634kHz 283kHz
参考まで、実験により得られた情報を以下に示します。
・LC発振回路へ100pF追加
・発振周波数
ダイヤル最左端において7.4MHz付近の丁度良い周波数で発振。
・発振周波数範囲
約685kHz(100pF追加前) → 約275kHzへ縮小。
・ダイヤル回転当たりの周波数変化
約15kHz(100pF追加前) → 約5kHz ( SSB復調が非常に楽になった。)
・RIT回路切り離しの発振周波数への影響
・RIT回路切り離し → 約42kHzUP
・実験のため100pFに更に6pFを追加。 → 約58kHzDOWN。
・RIT回路側容量(制御端子開放) → 6pFよりやや少なめの値。(上の2点より)
・TC1(max30pF)可変による発振周波数変化量
・±105kHz
・ダイヤル最左端の発振周波数調整に使用する。
・追加100pFの温度係数
・当初、通常のコンデンサを使用したが、温度による周波数変動が非常に大きいことが分かった。
・そこで、温度補償タイプUJ(-750±120ppm/℃、黒)へ変更した。結果、良好。(「周波数安定度」参照)
1)RIT回路切り離し
TC1-端子間の空中配線されたリード線(線径:φ1.2、材質:不明)を切断する。
2)コンデンサ追加
100pF(CJ)をC19(82pF)へパラ接続。
3)側板(VFOの底板)を取り付ける。(「改造その2」参照)
4)発振周波数調整
ダイヤル最左端の周波数が7455kHz以下となる様、TC1を調整する。
4)発振周波数範囲確認
ダイヤル最左端と最右端の周波数を測定し、発振周波数範囲が200kHz以上あることを確認する。
改造前 |
改造後 |
電源ON直後から3時間弱の測定結果を下図に示します。1時間40分後、200Hzで安定し、その後±10Hz以内の変動に収まっています。
測定は、CYTECさんのEasyFC2を使用させて頂いています。但し、ファームは間違えて旧版(V1.0)を使用したため、「Center Frequency」と「ΔF」の桁表示が1桁大きくなっています。何れも1桁小さく見て下さい。EasyFC2の最新ファームはV1.2です。(2012年12月現在)
周波数変動
長時間測定すると、エアコンを使用していないため室内温度が時間とともに変動します。そこで、室内を恒温槽と見なして温度変動を調べることにしました。VFOをQR-73Jへ実装して測定した結果を下図に示します。最初の200HzUPはおそらくケース内部の熱が安定するまでの変動で、その後は周囲温度による変動と思われます。200HzUP後、約9時間で300Hz弱の上昇、温度変化は約15℃から約20℃までの5℃、従って周波数変動は「約60Hz/℃」と考えられます。
最後に周波数変動が周囲温度による変動であることを確認するために、エアコンを22℃に設定したところ、1時間20分後約2℃の上昇により120Hz弱の変化が見られ、前記温度当たりの周波数変動と一致しました。
VFOへ固定用板、底板および側板の取り付けを行いました。底板と側板の取り付けは、@VFOのシャーシへの固定、AシールドおよびB小PT板の実装を目的としています。
手書きメモ程度です。
取り付け板(JPG)
固定用L金具(JPG)
ダイヤルつまみ1回転当たりの周波数変化が小さくなり、SSB復調が非常に楽です。周波数安定度も満足しています。また、FT-101の7MHz受信はメインダイヤル左廻しで周波数が高くなりますが、今回の使用方法では右廻しとなります。
このVFOの利用に当たり実装上の難点が1点だけあります。メインダイヤルの左側にダイヤル表示用メータを実装したいのですが、VFO本体が邪魔をして奥行きのあるメータを置くことができません。現在は奥行きの狭い簡易VUメータを使用しています。このVFOは「QR-73J」に使用しています。