TS−520用VFOを7M専用ダブルスーパー受信機のVFOとして利用するための改造です。
発振周波数の変更とVFO取り付け板の変更を行なっています。
仕様 (参考: 「VFO-520」取説 )
発振周波数:
4.9 〜 5.5MHz.
出力電圧:
1 V ±3db ( 470Ω 負荷).
発振回路:
クラップ発振
周波数安定度:
3分のウォームアップ後
30分当たり ±100 Hz
所要電力:
DC 9V, 25mA.
改造前後の実測値を以下に示します。
項目 改造前 改造後 発振周波数
(受信可能周波数)5.553〜4.896MHz
(7.1485〜7.8055MHz)5.759〜5.032MHz
(6.9425〜7.6695MHz)可変幅 634Hz 727kHz
手順
1)VFOケースを外す。
2)RIT回路切り離し
C4を除去、又はリード片側(VC側)を浮かす。
3)VFOケースを取り付ける。
4)発振周波数調整(PS ONから20分以上待つ)
@ケースのVC調整穴を塞いでいるアルミテープを剥がす。
Aダイヤルを左に廻し切った状態とする。
B希望の周波数となる様、VCを調整する。(今回は約5.76MHzへ調整)
C調整後、調整穴へアルミテープを貼って元に戻す。
5)ダイヤルを中央付近とし、出力レベルが最大となる様、TCを調整する。
6)その他
・今回のC追加無しの様に変更幅が小さい場合は上記5)の出力レベル調整は省略可。
・TC調整により発振周波数が多少変化するので注意。MAX600Hz程度。希望周波数へ
調整するときはVCを再調整する。
・VFOの出力を50Ωで終端すると波形が崩れるので注意。負荷は470Ω以上
とする。
改造・調整箇所
[参考]
今回の調査の中で得たデータを参考までに以下に示します。
・RIT回路有無による周波数変化 : +167kHz(ダイヤル最左端。回路有り→無しで周波数UP))
・VFOケース有無による周波数変化 : -96Hz(ダイヤル最左端。ケース有り→無しで周波数DOWN)
・VCによる周波数可変量 : 334kHz
・TCによる周波数可変量 : 651Hz
電源ON約5秒後から1時間弱の測定結果を下図に示します。20分後、-300Hzで安定し、その後10Hz以内の変動に収まっています。
測定は、CYTECさんのEasyFC2を使用させて頂いています。
周波数変動(室温 約15℃)
上の改造では、発振周波数範囲が拡がる結果となりました。まだ実験していませんが、これではダイヤル回転当たりの周波数変化が大きくなり、SSB復調がTS-520と比較して少々難しくなりそうです。
範囲を狭めるためには、上の適用例のフィルタを12.5MHz以下としてVFO発振周波数を下げる方向とする必要があります。
そこで、VCへCを追加した時の発振周波数を実測し、最大/最小値をグラフにしてみました(RIT回路は切り離した状態です)。中心周波数12MHzのSSB用フィルタ構成へ適用するには47pF追加で使えそうです。この時の発振周波数範囲は約480kHzです。
尚、150pFを超えると発振が停止しましたので、せいぜい100PF程度の追加とするのが良いと思われます。
TS-520VFOの取り付け板が長過ぎるため短めの板を作り、別途制作したVFO固定用板と共に取り付けます。
TS-520用VFO VFOケースを外す 取り付け板を外す 取り付け板からギヤ部を外す 取り付け板の前面 板切り出し 穴明け後、右側面の曲げ加工 左側面の曲げ加工の前に、短いので補強のため押さえ板を取り付け 補強後、曲げ加工 曲げ加工完成 ギヤ部取り付け 本体取付け、その後VFOケース実装 ケースへの固定方法検討 固定用 L金具を両側へ取り付けて完成 改造前(左)と改造後(右)
手書きメモ程度です。
取り付け板(JPG)
固定用L金具(JPG)
当初、C3(12pF)削除のみで目的の周波数で発振しました。しかし、RIT回路の制御端子開放、C3削除による温度変動バランス崩れの不安があり、RIT回路を切り離しました。RIT回路が必要の場合は、適切な外部制御回路、C3除去およびVC調整により周波数を合わせることができると思います。
ここで取り上げた改造は「QR-75J」において適用しています。